柔道には、大きく分けて2種類の攻防があります。

一つは立った状態で投げを狙う「立ち技」の攻防と、もうひとつは抑え込みや絞め技、関節技を使って一本を狙う「寝技」の攻防です。

今回は柔道の寝技の種類や逃げ方・返し方のコツ、禁止寝技について解説していきます。

本記事をお読みいただくことで柔道の寝技のルールやテクニック、反則技を把握することができるのはもちろん、寝技最強になるための練習テクニックも公開しています。

ぜひ最後までお読みいただいて寝技上達の参考にしていただけると幸いです。

柔道の寝技とは?

柔道の寝技とは、いったいどのようなルールなのでしょうか。

柔道の寝技には大きく分けて3種類の極め方が存在します。

一つ目は20秒間抑え込み続ける事で一本になる「固め技」

二つ目は相手の頸動脈を絞めることで相手を失神させたり、相手からのタップを誘う「絞め技」

三つ目は相手の肘関節を逆方向に圧力をかけることで相手からのタップを誘う「関節技」が存在します。

また、柔道の寝技には安全面の考慮から、多くの制限が設けられています。

まず小学生は絞め技と関節技すべて禁止となっており、投げるか抑え込むかで勝敗が決まります。中学生になると絞め技が解禁され、関節技のみが禁止になります。高校生になって初めて柔道で使ってよい技のすべてが解禁となりますので、注意が必要です。

また、関節技については他の格闘技(ブラジリアン柔術や総合格闘技、サンボなど)には肘関節の他にも肩関節、膝関節、首、足首、手首と様々な関節に圧力をかける関節技が存在しますが、柔道においては肘関節へのアプローチしか認められておりません。

このように柔道の寝技には様々な制限がありますので、今一度ルールを確認して行いましょう。

寝技の種類7個[固め技]

柔道の固め技は7種類存在します。

●袈裟固め
●崩れ袈裟固め
●横四方固め
●縦四方固め
●上四方固め
●崩れ上四方固め
●肩固め

柔道では、相手を上記の技で「20秒間」抑え込み続けることで一本となり、勝利することができます。

また、「10秒以上」抑え込んで逃げられてしまうと、「技あり」のポイントを奪うことができます。

この技ありは2つ取ると一本となるため、すでに技ありのポイントを持っていた場合、10秒で技あり取得となり、合わせ技一本で勝ちとなります。

固め技には様々な形がありますが、試合の中で多く使われる技は横四方固めと縦四方固めです。ちなみに他の格闘技では横四方固めはサイドポジション、縦四方固めはマウントポジションと呼ばれています。

横四方固め(サイドポジション)、縦四方固め(マウントポジション)、肩固めは柔道以外の格闘技でもよく使われる技なので、それだけ効果的な技であるという事の証明ではないでしょうか。

また、肩固めにおいては他の格闘技では「絞め技」として扱われており、柔道では固め技になっているという、ちょっと変わった技でもあります。柔道においては肩固めは「固め技」ですので、無理に相手を絞め上げることなく、抑え込んで一本を狙っていくべきでしょう。

寝技の種類11個[絞め技]

柔道の絞め技は11種類存在します。

●送り襟絞め
●片羽絞め
●並十字絞め
●逆十字絞め
●片十字絞め
●片手絞め
●両手絞め
●突っ込み絞め
●三角絞め
●袖車絞め
●裸絞め 

柔道の試合において、もっともよく使われている技は送り襟絞めです。相手が亀の状態になっている際に、相手の頸動脈付近の襟を掴んで送り襟絞めを極める光景は柔道の試合でよく見られますね。

柔道以外の格闘技においては道着を着ていれば送り襟絞めはよく見られますが、送り襟絞めと同じくらい三角絞めなどもよく見ることができます。

道着を着ない格闘技の場合は裸絞めや三角絞めで決まる試合がほとんどです。しかし、柔道では三角絞めは高校生から解禁となっているので注意が必要です。

寝技の種類9個[関節技]

柔道の関節技は9種類存在します。

●腕ひしぎ逆十字固め
●腕絡み
●腕ひしぎ腕固め
●腕ひしぎ脇固め
●腕ひしぎ膝固め
●腕ひしぎ腹固め
●腕ひしぎ脚固め
●腕ひしぎ手固め
●腕ひしぎ三角固め

腕ひしぎ逆十字固めや腕絡みは柔道でもよく見られますし、他の格闘技でもよく見かけることができますね。

腕絡みに関しては、「最強の柔道家」といわれている木村政彦が最も得意とした技といわれています。

昔、最強柔道家といわれた木村政彦とブラジリアン柔術(グレイシー柔術)の創始者のエリオ・グレイシーがブラジルにて打撃ナシ・関節技絞め技アリの決闘をしたことがありました。その際に木村はこの腕絡みを用いて、エリオの腕をへし折って勝利しました。

このような出来事があったことから、ブラジリアン柔術では木村政彦へのリスペクトや敬意を込めて、腕絡みを「木村ロック」と呼んでいます。

柔道の禁止寝技8個

柔道には細かなルールがあり、反則技も多く存在しているので注意が必要です。それぞれ反則技を紹介していきます。

①立ち技の状態から引き込み

柔道において立ち技の攻防の最中にいきなり寝技に引き込む行為は反則行為となっています。これを行った場合、即反則負けというわけではありませんが、指導1が宣告されてしまいます。

②洗濯ばさみ

洗濯ばさみというのは、自分の足で相手の首を挟み、絞め上げる技です。柔道においては脚で絞める際には腕を巻き込む(三角絞め)形でないと認められません。ですので洗濯ばさみは反則技となっています。

③指で直接相手の頸動脈を絞める行為

柔道においての絞め技は、直接指で絞める事は反則となっています。

④ゲルビチョーク

柔道においての絞め技は、上位の裾または帯を使って絞めることも禁止となっています。

ゲルビチョークというのは、リオ世界選手権女子63kg級で優勝したヤーデン・ゲルビが得意とした極め技ですが、この技は自分の上位の裾を相手の首に巻き付けて絞め上げる技で、反則となります。

リオ世界選手権当時も反則だったのですが、審判は反則を宣告せず、試合は続行される事態となり柔道界では話題となりました。ヤーデン・ゲルビ選手自身も反則とわかって行っていたそうです。

⑤ラペラチョーク

先程のゲルビーチョークは自身の上位の裾を利用して絞め上げる技でしたが、ラペラチョークは相手の上位の裾を利用して頸動脈を絞め上げる技となります。

この技はブラジリアン柔術で広く使用されている技です。相手の柔道着でも自身の柔道着でも、上位の裾を利用して絞め上げることは柔道では反則となっていますので注意が必要です。

⑥同絞め

同絞めに関しては柔道の技として存在はしていますが、相手の頸動脈ではなく、相手の胴体を足で絞める技なので試合で使うのは反則となります。

⑦肘関節以外の関節技

柔道において関節技は、肘関節に圧力をかける技以外はすべて反則技となります。

⑧立ち姿勢から絞めや関節技を試みる行為

2018年の新ルールで、立ち姿勢の状態から絞め技、関節技を狙いに行く行為はすべて反則となりました。飛びつき腕十字などがこれにあたります。

柔道の寝技の返し方・逃げ方のコツ4個

柔道の寝技で相手に技を仕掛けられた際、返し方や逃げ方にはコツ・テクニックがあります。ここではそんな返し方や逃げ方に関するコツやテクニックを紹介させていただきます。

今回紹介させていただく方法以外にも様々なやり方があるので、やりやすい、わかりやすいテクニックを見つけてもらって練習で実践してみてください。

①横四方固めで抑え込まれた場合の返し方・逃げ方

②上四方からで抑え込まれた場合の返し方・逃げ方

③縦四方からで抑え込まれた場合の返し方・逃げ方

④関節技の逃れ方

寝技で逃げる返す際に大事なことは「完全に極められてしまう前に逃げる」ことです。完璧な体制で抑え込まれてしまっては、中々逃げられるものではありません。相手が完璧な体制になる前に、上記のテクニックらを使用して逃げることを試みましょう。

絞め技や関節技に関しても同じことが言えますが、絞め技や関節技は極められると危険なので極められてしまったらすぐタップすべきです。

固め技も絞め技も関節技も、「完全に極められてしまう前に逃げる」ことを心がけましょう。

寝技最強へ!柔道で寝技を上達させる方法3個

これまでに固め技、絞め技、関節技、それらの逃げ方などをご紹介させていただきましたが、これらの寝技を上達するためのコツや方法などを最後にご紹介させていただきたいと思います。

①守る練習だけでなく攻める練習も並行して行う

柔道において、寝技は「練習すればするほど強くなる」といわれています。しかし、柔道家の中で寝技に対する苦手意識を持っている選手の割合はとても多く、70%~80%は寝技が苦手だというのではないでしょうか?

練習すればするほど強くなる寝技がなぜ苦手なのか。これには理由があります。

それは「練習方法を誤っている」可能性が高いです。

まず、柔道の寝技の最大の特徴は「亀」というポジションが存在することです。この亀というポジションは、立ち技から寝技に移行する際に不利なポジションで寝技が始まってしまった場合、身体を丸めて審判から「待て」が宣告されるまで耐えしのぐためのポジションになります。

亀から相手をひっくり返して抑え込んだり関節技を仕掛けるというテクニックも一応ありますが、相手がよっぽど知識不足でない限り掛かることはありません。

これらのことからわかるように、柔道の寝技の特徴である亀のポジションは「守りのポジション」です。

「寝技が苦手だ」と嘆いている柔道家たちに一番多い誤った練習方法は、練習中に「亀」になっている状態が多く「攻めるポジション」での練習を行っていないということが挙げられます。

守りのポジションのみの練習だけではいつまで経っても勝てるようにならないことは柔道以外のスポーツでも共通ですよね。野球でも、ピッチャーが9回完封したからといって1点追加されることもなければ、奇麗な守備をしたから1点追加というのもありません。

柔道の寝技においても同じことが言えます。守る練習も大事ですが、攻撃しなければ勝つことは不可能です。これらのことから、寝技を上達させるための方法1つ目は「守る練習だけでなく、攻める練習も並行して行う」でした。

②寝技の知識を増やす

寝技上達の方法2つ目は「寝技の知識を増やす」ことです。

今回ご紹介した寝技の種類だけでも豊富な技があるということがお判りいただけたことと思いますが、今回ご紹介していないテクニックも多数存在します。

もちろんすべて覚えなければいけないというわけでは決してありません。ですが、自分に向いている技を調べたり、使うことはないけれどその技をされた際の対処方法などは頭に入れておけば勝ちやすく負けにくい選手になれます。

常に知識を取り入れながら寝技の「勉強」をし続けることが大事です。そして、それらの情報を先生や先輩などに教えてもらうのもいいですが、自ら本を読んだりyoutubeなどで調べたりして、自ら進んで寝技に関する知識を増やしていくことができるようになれば、どんどん強くなっていき「最強」の道が必ず見えてきます。

これらのことから、寝技上達の方法2つ目は「寝技の知識を増やす」でした。

③過去の自分より強くなる

寝技上達の方法3つ目は「過去の自分より強くなる」ことです。これは寝技だけではなく柔道だけでもなく全ての事に言えるかもしれません。どんな分野であれ、成長するということは過去の自分を超えるということに他なりません。

「昨日できなかった技が今日できるようになった」
「今までいつも引っかかっていた技に今日は引っかからなかった」
「今まで勝てなかった練習相手に勝てるようになった」
これを実感できれば自分が成長したということです。

これらを実感するためには今の自分の課題を明確にする必要があります。課題が明確になれば、その「課題を克服するための練習」を行いましょう。

克服できれば、過去の自分より強くなったということなので、また新たに自分の課題を見つけて、改善するという一連のサイクルを繰り返すことで、どんどん強くなっていきます。以上、寝技上達の方法3つ目は「過去の自分より強くなる」でした。

まとめ

寝技には様々なテクニックがあり、柔道においては反則技の規制も多いので注意しなければならないということがお判りいただけたでしょうか。しっかりとルールを確認して、寝技最強への道を目指して日々の練習に取り組んでみてくださいね。最後までお読みいただきありがとうございました。